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LEGGO 長尾真館長の巻〜知識はわれらを豊かにする

8月末に行なったNDL長尾館長との対談がようやくアップされました。

国立国会図書館長・長尾真〜知識はわれらを豊かにする

最後に長尾館長が「なにか問題になるような発言ばっかりしたな(笑)」と書かれていますが、実際この時館長はヒリヒリするくらいスリリングな話をけっこうされていました。さすがに際どい部分はカットされているようですがwまたぜひ続きをやりたいです。

それから10月28日に長尾館長は文化功労者を受賞されています。
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2008/081028_2.htm
まるで受賞に合わせたかのような公開になりましたね。おめでとうございます。

『LEGGO 本のある生活』では長尾館長との対談の前に池上高志さんとの対談@LOTTERIA日本科学未来館というのも行なっているのですが、池上さんのお話があまりにもハードコア過ぎて編集担当の方がかなり苦戦しているようでちょっと時間がかかっています。が、これも間もなくアップされる予定です。決まったらまた告知しますね。

Andreas Gursky

Sign代官山でランチを食べた後、近くにあるhacknetに立ち寄ると主人安岡洋一さんがたまたまいて「leeくんにおすすめなのはねえ...」とばばばっと数冊出してきてすすめられ、まんまと4冊程ヴィジュアル本を買ってしまいました。本屋の主人おそるべし。

珍しく建築系のヴィジュアル本が3冊と、もう1冊は安岡さんのおすすめではなかったけど久しぶりにアンドレアス・グルスキー Andreas Gurskyを。バーゼルで行われた展覧会の図録なのですが、これはなかなかいい。

アマゾンはとても便利で僕もヘビーユーザーですが、直接見て触れることで購入につながるものはまだまだ存外多い。

「文学を超えた科学書全集」

池上高志さんの教授昇任お祝いパーティということで渋谷のet sonaへ。渋谷慶一郎くんが頻繁に利用しているということで名前は聞いていましたが僕は今日が初めてでした。名前の通り野菜を中心にどれもとてもおいしかった。

池上さんの人柄のせいかこの日は本当にリラックスできる楽しいパーティでした。緩みすぎて思わずはしゃいでしまったなあ。何人かに「leeくん、本当にお酒飲んでないの!?」と聞かれましたが僕はアルコールアレルギーでお酒は一滴も飲めません。

池上さんの『動きが生命をつくる』が朝日新聞に紹介されたらしいという話になって「瀬名さんじゃないの?」と言っていましたがやっぱり瀬名秀明さんが紹介していたようです。

朝日新聞・秋の読書特集「文学を超えた科学書全集」

僕も池上本はもちろん妥当だと思います。後はカール・ジンマーくらいかなあー選定が重なるのは。

動きが生命をつくる<br>―生命と意識への構成論的アプローチ
池上 高志
青土社
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「進化」大全
「進化」大全
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カール・ジンマー
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横尾忠則のラッピング電車

またまたinmercanto(インメルカート)の引渡しで兵庫県の加西市へ。新幹線から一両のみで走るローカル線まで合わせて5回乗り換えてたどり着きました。今度は2008年11月1日にオープンするイオン加西北条ショッピングセンターです。本当に何もないところに突然広大なSCがという感じなのですがおそらく播州全般をターゲットにしているのだと思われます。

途中、JR加古川線(加古川駅と谷川駅を結ぶ)に乗るのですがこの電車の一部が横尾忠則氏によってデザインされています。(横尾さんは地元西脇市の出身だそうです)その横尾忠則デザインのラッピング電車にタイミングよく乗ることができました。

これが「見る見る速い」

で、こちらは「銀河の旅」

他に二種類あるそうですがそれらは見ることができませんでした。「見る見る速い」というネーミングも際立っていますが緑溢れる沿線での存在感もすごかったですw

横尾先生のありがたきお言葉はこちらで。
見る見る速い

エラー

世の中は誤配と誤読だらけで、その上状態はそれらが決してほどけないくらいに絡み合っているか全くかすってもいないかのどちらかのように見える。そのような中で人はコミュニケーションができている/できていないと感じている。

池上高志さんは「生命とは、結局「ズレ」とかエラーである」とよく言いますが、人は言語という「ズレ」とかエラーを次々と生成していく手段を持ちえたことで特異な進化を遂げたとも言えるのかもしれません。

そういえば池上さんはこのたび准教授から教授になられたそうです。おめでとうございます。
http://www.c.u-tokyo.ac.jp/staff/20081016_ikegami.html

11月6日にオープンします!

11月6日のオープンをひかえたブックファースト新宿店の現場モード学園コクーンタワーへ。

学校の方は既に始動しているようで学生さんや学校関係者の姿がちらほら。mattがデザインを担当するカフェ&ギャラリー「BLUE SQUARE CAFE」はまだまだ造作家具工事の真っ最中。今日はサインなどの位置を現場にて確認しました。

港千尋さんの著作『文字の母たち Le Voyage Typographique』よりテキストを提供していただいた活字組も取付けられ、オープンを目前に急ピッチで進んでいます。

ツナガリ

自宅が面する目黒銀座商店街は小さなお祭りやらフリーマーケットが頻繁に行なわれます。今日も朝からがやがやとフリマをやっていました。フリマってリサイクルでもリユースでも交換でも贈与でもなくてあれは人々のツナガリ希求の現れですよね。元々あったお店がどんどんなくなってマンション化していく中でかつての商店街にはあった(と思われている)ツナガリをフリマやお祭りで埋めるかのような。環境やテクノロジーの変化は別の問題として人々がツナガリを求めるのは変わらないですね。着古した軍ものの服やただ古いだけのガラス食器やカメラに交じって松本弦人氏の『ジャングルパーク』が誰にも触れられることなく置いてあって少し切ない気持ちになりました。

夜はエバラくんのライブを観に落合のsoupへ。エバラくんはATAKメンバーとしても活躍していますが自身でもportというレーバルを運営しています。なかなか厳しい環境(空間&PA)の中、彼特有の繊細さで圧倒していたと思います。

この日はお腹の調子がとても悪かったのでエバラくんのライブが終わり次第帰宅。帰ったらちょうどBACH幅さんが登場する情熱大陸がやっていたので見ました。普段通りのそのままの幅さんでかっこよかったですよ。

古賀へ

inmercanto(インメルカート)の新店の引渡しで福岡へ行きました。福岡といっても福岡市ではなく博多から鹿児島本線で20分ほど北東へ行った古賀市。今回は九州北部や中四国地方で展開するサンリブというGMSへの出店です。

前回の泉パークタウンタピオのプチファンタジーとは全く違って全てが剥き出しの現場でした。

出張の帰路はこれを再読。

アフォーダンスと行為 (身体とシステム)
佐々木 正人 宮本 英美 黄倉 雅広 三嶋 博之 鈴木 健太郎
金子書房
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マイクロスリップ microslipについて考える。


つくる図書館

打合せのため雨の中多摩美術大学へ。情報デザイン学科准教授でライト・アーティストでもある森脇裕之さんと光に関するプロジェクトの打合せ。森脇さんとはコマーシャルスペースのLEDによる什器等を一緒に造ったりしていますが、今回は環境/アーキテクチャにまで広がるお話。これから間違いなく照明は蛍光灯へそしてLEDへという流れになっていきますが、LEDを効率&エコという観点のみで塗り替え的に普及させていくのは絶対にまずいと思います。

せっかくの機会だったので多摩美の図書館を観させていただきました。2007年春に開館してから行こう行こうと思いながらまだ一度も来ていなかったので。図書館の渡邉朋也さんにじっくりと案内していただきました。

敷地の傾斜に合わせた床の斜面やダイナミックさと繊細さを併せ持つアーチや完璧と言っていいコンクリートとガラスの納まり等によって”つくる図書館”はとても気持ちのいい建築空間でした。これだけの建築でありながら情報アーキテクチャまで通しての設計・デザインになっていないのが残念です。ただ、この空間はある種の可塑性も持っているようなので継続するプロジェクトとしてつくれるのではないでしょうか。渡邉さんとそんな話で盛り上がりました。


「来たるべき写真」

恵比寿のG/P galleryで行なわれたTORU NAGAHAMA: Layout of Everyday 長浜徹展:レイアウト・オブ・エブリデイのレセプションに行ってきました。

長浜さん自身から直接作品のプロセス等もうかがうことができたのですが、こうして新しい作り手が発表して直接コミュニケーションできる場というのは貴重なことだと思います。G/P galleryは後藤繁雄さんがディレクターを務めるギャラリーでこれからも「来たるべき写真」を積極的に紹介していくそうです。

後藤さんは今本当に建築・インテリア等の空間で何かを表現したいという思いがあるようで、先日初めてお会いした時からずっとその話をされています。空間と写真を時間軸を取り込むことで構成していくとおもしろいかもしれません。今日はそんなきっかけになるようなお話でした。

終了後、一緒に行ったtokyo sourceの米田さんとお茶しながら話しました。『これからを面白くしそうな31人に会いに行った。』はなかなか健闘しているようです。

今度は霞が関だ

打合せのため霞が関の現場へ。日本で最初の超高層ビルとしても知られている霞が関ビルに来春sign霞が関がオープンします。

エントランス部に増築されてできつつあるロケーションはこんな感じ。

霞が関という立地やロケーションの条件によっていつもとは少し違ったsignになると思います。現在デザインの追い込み中です。乞うご期待。

円城塔さんのブログで知って今持ち歩き読み中の20世紀の幽霊たちが面白過ぎる。短編集なのですが、読んだ中では特に「ポップ・アート」が内容もタイトルも秀逸。著者ジョー・ヒルはスティーブン・キングの息子だそうです。僕はスティーブン・キングは一冊も読んでいませんが。

20世紀の幽霊たち (小学館文庫 ヒ 1-2)
ジョー・ヒル
小学館
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ぼくたちと本とが変わるときの話

numabooks内沼晋太郎さんのトークショーシリーズぼくたちと本とが変わるときの話 第5回に行ってきました。

第5回ということでしたが僕はこれが初めて。内沼さんがこれからはじめる「本の相談所(仮)」についてゲストの小林浩さん(月曜社取締役)や来場者に相談するーというちょっとおかしくて楽しいトークでした。内沼さんにはこれからも衛星であってほしいと思います。

トーク終了後に内沼さんに小林浩さんを紹介していただき少しだけお話しました。月曜社は人文社会・芸術書に絞って本の内容はもちろん版型から装丁まで真摯につくられた本を送り出している出版社です。それを二人でやっているというのがまたすごいです。いや二人だからできるのでしょう。科学書等でもこういう出版社が出てくれるといいのにねえ。

僕の月曜社お気に入りベスト3はこれです。

バートルビー―偶然性について <br>[附]ハーマン・メルヴィル『バートルビー』
ジョルジョ アガンベン
月曜社
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民衆防衛とエコロジー闘争
ポール・ヴィリリオ 河村 一郎 沢里 岳史
月曜社
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書物の不在 (叢書・エクリチュールの冒険)
モーリス・ブランショ
月曜社
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『書物の不在』の画像がないのが残念ですが、月曜社の本は版型(手に持った時の感覚)も絶妙なのでぜひ書店や図書館で触ってみてください。

sign立川オープン!

ecute立川内にオープンするsign立川のレセプションへ。立川という立地のため今回のレセプションはecuteや地元のショップ関係者を中心に招かれ行なわれました。

ecuteと言いながらも既にオープンしているecuteからの直接の導線がない上に駅ビルの規制でエントランスにいつものCIサインが出せなかったため少し心配していましたが、今日のレセプションの様子や通りがかる人々の反応を見ていて大丈夫だなと思いました。

2008年10月7日グランドオープンです。立川駅をご利用される方はぜひお立ち寄りください。

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Sign Tachikawa
■ADDRESS : ecute Tachikawa 1F(東京都立川市柴崎町3-1-1)■TEL : 042-527-7287
■OPEN : 10:00am-11:00pm■LAST ORDER : Food 10:00pm / Drink 10:30pm
■LUNCH TIME : 10:00am-3:00pm■ SEAT : 45席 / テラス 14席 ■ SMOKING : 分煙

■ PRODUCE&OPERATION : TRANSIT GENERAL OFFICE INC.
■ LOGO DESIGN : KURODA DESIGN / Masuo Kuroda
■ INTERIOR DESIGN : matt / Myeong-hee Lee
■ WALL GRAPHIC : GROOVISIONS
■ CHARACTER DESIGN : Shu-Thang Grafix

RADIOHEAD | JAPAN TOUR 2008

さいたまスーパーアリーナで行なわれたRADIOHEAD | JAPAN TOUR 2008に行ってきました。RADIOHEADのライブは『OK コンピューター』が出た直後の1998年のJAPAN TOUR以来。RADIOHEADは僕のiPod tpuchにデビューアルバム以降全タイトル(ベストは除く)が入っている唯一のアーティストです。

トム・ヨークの歌の主楽器としての完成度は格段に上がっていてやはりそれがこのバンドの魅力なんだろうな。トムがちょっと間違えて「again!」と頭からやり直したりしたことも含めてパファーマンスは秀逸ーだっただけにもう少し小さい空間で観たかった。あの広さではPAに限界があります。それからトムがピアノを弾きながら歌う「VIDEO TAPE」を聴いていて、この人(たちは)は間違いなくArvo Part を聴いているなと思いました。


『OK コンピューター』もすごかったけど『In Rainbows』も恐るべき傑作ですね。

OK コンピューター
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レディオヘッド
EMIミュージック・ジャパン (1997-05-21)
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In Rainbows
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Radiohead
Xl (2007-12-27)
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Alina

渋谷慶一郎くんからプレゼントで頂いた(ありがとう>渋谷くん)Arvo Part アルヴォ・ペルトのAlinaが素晴らしすぎて繰り返し聴いてしまう。これだけの豊かな静寂に人間はどうしたらたどり着けるのだろう。

Tabula Rasaも衝撃的な名盤でしたね。


Alina - Arvo Part
Alina - Arvo Part
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ECM (2000-02-01)
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Tabula Rasa, etc / Kremer, Jarrett, Davies et al

ECM (1999-11-16)
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泉パークタウン タピオ

出張で仙台へ。仙台は7年ぶりぐらい。今回は2008年10月16日にオープンする泉パークタウン タピオ内にできるinmercanto(インメルカート)というショップの引渡しでした。

泉パークタウンは仙台市泉区にある三菱地所が1969年(!)から手がける、総開発面積1,070ha、計画人口50,000人という広大なニュータウンです。都市景観の保全のため出店の規制が厳しいため周辺にはほとんどコンビニもありません。泉パークタウン タピオができるにあたっても地元住人からは反対の声も大きく結果フロアは地上2階(一部3階)になってしまったそうです。

泉パークタウン タピオはその中にできる三菱地所が運営するショッピングセンター(SC)。延床面積約49,000㎡(14,850坪)の中に約80の店舗が入ります。運営がパークタウンと同じ三菱地所なので街の開発の延長となっていて非常に清潔感溢れ上品にまとまったSCです。

mattがデザインを担当するinmercantoは「日常生活をもっともっと楽しもう....」ということでシンプルな普段着を提案しているレディース&メンズのブランドで今年の春にスタートしました。まだ店舗数は少ないですが、地方や郊外の中規模なショッピングセンター(SC)/ショッピングモール等を中心に少しずつ展開していく予定です。といってもinmercantoに関してはスタッフの森山さんが担当者として頑張っています。

このブランドを始めて現場として地方のSCを訪れたり普段でも都心近郊のSCに行ったり、SCに行く機会が随分増えました。東浩紀さんが言うように、SCにはこれからのコミュニティとアーキテクチャの関係について取り組むべき問題がつまっています。今はSC内の1テナントのデザインとして取り組んでいてそれもとても面白いのですが、本当はSCのアーキテクチャ全体のデザインに取り組んでみたいです。これでしかできない設計手法は用意してあるので、ぜひ!

それから仙台ではエスカレーターでは右側に立つのですね。関西だけだと思っていたのでびっくり。関西は大阪万博の時に欧米に習ったのが定着したと言われていますが仙台は何でだろう?

科学・SF・アートが見る夢

三省堂書店神保町本店で開催された瀬名秀明さん×円城塔さん×池上高志さんによる講演会『〜科学・SF・アートが見る夢〜』に行ってきました。『サイエンス・イマジネーション』の発売記念イベント。研究者としては不まじめwな池上さんとまじめなお二人ということになっていましたが、人間的には池上さんも極めてまじめな方なので三人のまじめさがよく現れたイベントでした。

本の中でもこの講演会でも頻繁に出てきた「身体性」に関しての話は渋谷くんの言う通り既に(取り扱えないということで)済んだ問題だというのは同意しますが、ベンジャミン・リベットの実験や池上さんの「Artificial Life is dead.」以降の新しい「身体性」というものがたち現れてきているような気がします。それはヒューマノイドロボットを作って動かすということではたどり着けないでしょう。そして科学であれ何であれ今度こそは目をそらすわけにはいかないと思っています。

それにしても書店の状況はひどいですね。「amazonやTSUTAYAやブックオフやケータイ小説やインターネット等々のせいで売れない」とか言われていますが、本が売れないのは環境的外部要因だけでなく内部要因が大きいのではないでしょうか。今日のまるで吹き溜まりのような講演会場の状況を見てつくづく思いました。あの状況が気にならないほど業界全体が不感症に陥っているのでは。講演内容とは関係ありませんがそんなことも気になったイベントでした。

終了後、近くのパブレストランwで開かれた打上げに参加。瀬名さんが確かめて愕然としていましたが、打上げに参加していた人で『サイエンス・イマジネーション』を購入して読んでいたのは僕だけでした。僕もちょっとびっくり。

サイエンス・イマジネーション 科学とSFの最前線、そして未来へ
瀬名 秀明 山田 正紀 堀 晃 円城 塔 飛 浩隆
エヌティティ出版
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